アートスペース油亀 展覧会情報

太田三郎「driftcards」−漂着絵葉書−

 

太田三郎「Driftcards」 −漂着絵葉書−
 
2011年3月11日に起きた東日本大震災では、津波に飲込まれ瓦礫から回収された写真を、
元の持主に送る活動がいくつも報道されました。
家族や家を失った人々に届いた写真は、震災前の記憶を留める大切な一枚となったことでしょう。
東南海・南海地震は今世紀前半にも高い確率で発生すると予測されており、
この地震による激しい揺れの他、津波による被害が予想されています。
玉野市津波・高潮ハザードマップによれば、
宇野港フェリーターミナル周辺は浸水深1m以上とされていますが
これは2007年9月時点のデータであり、私の知る港湾関係者は、
予想される津波の高さは5m以上だろうと語ります。
 
2012年4月、私は港の周辺を歩いて、失いたくない玉野の風景を撮影しました。
作品「Driftcards」は、「津波に飲込まれた玉野の絵葉書」を想定しています。
絵葉書が所々損傷し波打っているのは、泥水に浸かっていたからなのです。
 
 
After the March 11th earthquake and subsequent tsunami of March 11th, 2011, there were television broadcasts of efforts to return photographs found in the rubble, to their original owners. It is predicted with a high degree of certainty that another earthquake will occur in the Tonankai and Nankai areas of Japan, within the first half of this century. It is expected that the earthquake’s large tremors and ensuing tsunami will leave extensive damage. According to the Tamano City tsunami and high water hazard map, it is expected that the Uno Ferry Terminal area will be flooded by at least one meter of flood water, however this is data from September 2007. My experienced local harbor contacts expect the water to rise at least five meters. 
 
In April 2012, I walked along the Tamano port. I photographed the sights of Tamano that I don’t want to lose. These Driftcard works (postcards swallowed by the tsunami) are my assumptions. The photos are ripped or warped in places from being soaked in muddy water. 
 
 
■展覧会のご案内
 
美術家 太田三郎による初の写真作品「Driftcards」を発表いたします。
 
会場は岡山県玉野市築港にある、宇野港。
アートの島、直島や豊島行きのフェリー乗り場の待合室の
壁面をギャラリーにしたMIU ART BOXです。
 
本プロジェクト開催に向けて玉野市を何度も訪れた太田三郎は、
港町を歩き、そのその鄙びた風景に想いを馳せながら作品制作を行いました。
 
また、周辺の各地で植物の種子を採取し、
それぞれの種子をミックスした特別エディションの切手作品を制作いたしました。
 
太田三郎「Seed Project アカミタンポポ、ナズナ」 太田三郎「Seed Project イタドリ、クズ、ノイバラ」
 
 
太田三郎が訪れた各所を、作品を頼りに巡ってみると
玉野の町並みをより一層味わうことができるでしょう。
これらの作品は、アートスペース油亀のwebショップ「momokame」でも公開発売いたします。
 

■アーティストプロフィール

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」 1950年 山形県鶴岡市生まれ  1971年 鶴岡工業高等専門学校機械工学科卒業 植物の種子や戦争で行方不明になった兵士をモチーフにした切手作品など、 郵便を素材として「時間」と「場所」の関係性をテーマに制作。 近年は市民と共同制作するアートプロジェクトを各地で展開している。

太田三郎 Saburo Ota

 1950年 山形県鶴岡市生まれ
 1971年 鶴岡工業高等専門学校機械工学科卒業
植物の種子や戦争で行方不明になった兵士をモチーフにした切手作品など、
郵便を素材として「時間」と「場所」の関係性をテーマに制作。
近年は市民と共同制作するアートプロジェクトを各地で展開している。


 
 
太田三郎 「Driftcards」 −漂着絵葉書−
2012年7月1日[sun]−8月31日[fri]
会場:MIU ART BOX
岡山県玉野市築港1-7352-13
宇野港 直島行きフェリー乗場待合所
 
作品のお問い合わせ先:アートスペース油亀
Webshop「momokame」:http://aburakame.ocnk.net/
Tel:086-201-8884 mail:aburakame@gmail.com

 

 

アートスペース油亀 展覧会情報

アートスペース油亀での太田三郎展 こらからの展覧会

 

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−岡山空襲に寄せて−

2012.11/1(木)〜11(日)会期中は無休

会場:アートスペース油亀 岡山市北区出石町2−3−1

「時間」と「場所」をテーマに、関係性に着目した作品を制作し続ける太田三郎。

岡山市北区出石町。後楽園の門前の町として栄えたこの町に、築100年を超える古民家「油亀」はある。この建物は奇跡的に空襲を免れ、過去の記憶を今に伝えている。この歴史的な建物を舞台に、美術家 太田三郎が展覧会「出石町の家」を開催いたします。太田三郎は、戦争に行った人々、彼らを見送った人々の想いを作品にし続けて参りました。また、空襲によって被災した岡山の町に、今も残る戦災痕を取り上げ、忘れて去られていく戦争の記憶を、今に生きる私達に提示して参りました。今回の「出石町の家」では、岡山市に残る戦災痕を今一度、人々に投げかけます。

 

アートスペース油亀 展覧会情報

アートスペース油亀での太田三郎展 これまでの展覧会

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−

2011.8/1(月)〜15(月) 木曜休廊
アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−  

 

太田三郎(おおたさぶろう;1950-)は、山形県西田川郡温海町(現在は鶴岡市)出身の、芸術家

太田三郎の代表作には、植物の種子を切手に封じ込める作品「Seed project」や、戦争で行方不明になった兵士をモチーフにした切手作品があります。「時間」と「場所」をテーマに、関係性に着目した作品を制作し続ける太田三郎
彼は、岡山の文化向上に貢献した個人や団体を顕彰する「福武文化奨励賞」にも選ばれています。

本展覧会では岡山空襲を題材にした切手作品「POST WAR 66 戦災痕」に加え、戦時中の市民の暮らしに思いを寄せたインスタレーション作品を展示いたします。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−

 

「家族の声が、こだまする。」

1945年6月29日、未明。
岡山の空に轟音が轟いた。飛行機の群れは、無数の焼夷弾を落とし、街は炎に包まれた。
岡山大空襲である。
空襲で家族を失い、家を失い、悲しみにくれた無念は、今もなお消えることなく街に痕跡を残している。

出石町に残る、築130年の古民家、油亀。
かつて油問屋だったこの建物は、奇しくも戦火を免れた。
入口を一歩入ると、そこには、あの日66年前の6月29日と変わらぬ時間が流れている。
 
66年の時を経て、太田三郎が私たちに伝えるもの。
それは、残された家族の想い。
 
2011年、夏。
アートスペース油亀。
そこには、家族の声がこだまする。

 

■発表作品より

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「POST WAR66 戦災痕」田町橋 岡山市北区中央町

「 POST WAR 66 戦災痕」 田町橋 岡山市北区中央町:田町橋は、1945年6月29日未明の岡山空襲により橋の周辺は特に大きな被害を受け、西川でも多数の人々が亡くなった。田町 橋はかろうじて焼け残り、欄干に深い傷跡を残して、かつての大惨事の記憶を今に伝えている。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「母の像」 :紙にレーザープリント 縦26.5×横17.1cm ed.30 2011年 シート価格¥40,000-(額縁¥7,000-)

「母の像」 岡山市中区:「強くきびしく やさしかった 母 おかげで私がある お母さんありがとう 私たちのかなしみが くりかえされることの ないように 遺児」終戦30周年を記念して岡山県遺族連盟が、岡山市中区 護国神社前に建立。撮影=平成23年1月15日

 紙にレーザープリント 縦26.5×横17.1cm ed.30 2011年 シート価格¥40,000-(額縁¥7,000-)

 

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「遺品」

「遺品」:バリカン、剃刀、ヤス、釣針、網 2011年

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「遺品」(部分)

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「遺品」(部分)

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「戦時中に供出された金属類のインスタレーション」

「戦時中に供出された金属類のインスタレーション」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「戦時中に供出された金属類のインスタレーション」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「戦時中に供出された金属類のインスタレーション」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「KAMADO」

「KAMADO」:釜、ミルク缶、ミシン脚、金属製品 2011年

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、戦時中、空襲に備えて紙を貼付けた窓を再現。

戦時中空襲に備えて紙を貼り付けた窓を再現。  

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、会場風景

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「炎上」

「炎上」:古布 2011年

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「汐汲」

「汐汲」 :戦時中、爆撃で火災が起きたとき、火を消すために水ではなく、砂が撒かれた。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「こけしマッチ」

「こけしマッチ」: 紙にレーザープリント、マッチ、皿 2011年

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「焼かれた町」

「焼かれた町」:紙にコピー、アイロンによる加熱 縦25.3×横35.7cm ed.30 2011年
シート価格¥30,000- 額縁¥5,000-

岡山空襲の際に撮られた岡山市街地の航空写真です。中央にはアイロンで焦がされた跡がつけられています。
アイロンの中心が、現在のNTT岡山クレドビル付近で、空襲の標的にされた場所になっています。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「ヨイコキッテ」と戦時中の便箋、しおり

「ヨイコキッテ」と戦時中の便箋、しおり:紙にレーザープリント 2011年

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「ヨイコキッテ」

「ヨイコキッテ」:紙にレーザープリント 縦17.5×横25.7cm ed.30 2011年

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「おべんとう」

「おべんとう」紙にレーザープリント、マーキュロクロム液(赤チン)、弁当箱 2011年 ¥200,000-

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「おべんとう」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「おべんとう」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「おべんとう」(部分)

「11」の数字は2011年の11ではなく、february 11、つまり2月11日を指し、建国記念の日を意味します。

傷ついた日本に赤チンを塗るように一枚ずつ、赤い部分がドローイングされています。

http://aburakame.web.fc2.com/contents/exhibition/110801otasaburo/_mg_6754aburakames.jpg

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「ヨイコヌリエ」 :戦時中のぬりえ(復刻版)を赤チンで着色した作品。

「ヨイコヌリエ」 紙にレーザープリント、マーキュロクロム液(赤チン)縦18.3×横25.6cmed.30 2011年 

シート価格¥20,000-  額縁¥8,000-:戦時中に実際に使われていたぬり絵(復刻版)を赤チンで着色した作品。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「達磨とこけし」

「達磨とこけし」 :達磨、こけし 2011年

中央の達磨は、これから出兵する兵士、こけしは見送る女性やこどもたち

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、「遮光カバー」(国旗)、(日章旗)

「遮光カバー」(国旗)、(日章旗) 紙にレーザープリント 各ed.30 2011年

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、展示風景

岡山空襲を体験した出石町の方々にもたくさんお越しいただいて、本当にありがとうございます。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、会場設置風景

会場の制作は、太田三郎さんとともに油亀スタッフも総出で行いました。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−より、会場設置風景

 

 

■アーティストプロフィール

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」 1950年 山形県鶴岡市生まれ  1971年 鶴岡工業高等専門学校機械工学科卒業 植物の種子や戦争で行方不明になった兵士をモチーフにした切手作品など、 郵便を素材として「時間」と「場所」の関係性をテーマに制作。 近年は市民と共同制作するアートプロジェクトを各地で展開している。

太田三郎 Saburo Ota

 1950年 山形県鶴岡市生まれ
 1971年 鶴岡工業高等専門学校機械工学科卒業
植物の種子や戦争で行方不明になった兵士をモチーフにした切手作品など、
郵便を素材として「時間」と「場所」の関係性をテーマに制作。
近年は市民と共同制作するアートプロジェクトを各地で展開している。


 

 


■News

山陽新聞で現在開催中の太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−が紹介されました。

山陽新聞で現在開催中の太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−が紹介されました。

 

 

 

油亀スタッフが綴る展覧会の舞台裏
  作品情報をリアルタイムにお届けします。

「油亀ジャーナル」 油亀スタッフが綴る展覧会の舞台裏!!

 

■太田三郎「出石町の家」オリジナル作品 Seed Project「オオキンケイギク」

太田三郎自身が展覧会場である「アートスペース油亀」周辺の岡山市出石町を散策して見つけた「オオキンケイギク」が登場します。種の採集日は岡山空襲があった6月29日を選びました。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「Seed Project オオキンケイギク」 アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「Seed Project オオキンケイギク」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「Seed Project オオキンケイギク」
和紙、種子 2010年6月29日 岡山市北区出石町
シート価格 ¥20,000-(額縁¥5,000-) e.d30

オオキンケイギクは北米原産の多年草で明治中期に渡来。庭園に植えられ、海岸や河岸に野生化して大きな群落を作ることがある植物です。花期は夏、花の色は黄色でコスモスに似ています。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「Seed Project オオキンケイギク」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「Seed Project オオキンケイギク」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「オオキンケイギク」

鹿児島県鹿屋空港基地では初夏に開花し、旧陸軍の特攻基地だった歴史にちなんで「特攻菊(とっこうぎく)」と呼ばれています。一方、鹿児島県喜界島では、オオテンニンギクを「特攻花(とっこうばな)」と呼んでいます。

 

■太田三郎「出石町の家」オリジナル マルチプル作品「食餌(しょくじ)」

太田三郎「出石町の家」限定マルチプル作品

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「食餌(しょくじ)」
皿、結び文、種子、箸 2010年
¥3,000-

セット内容
「シード・ケーキ」:サクラの実をオブラートで包んだ作品。
「結び文」:日本戦没学生の手記「きけわだつみのこえ」のページを切り離して折りたたんだ作品。
「種袋」:種の貯蔵袋。セイヨウタンポポではなく、日本在来のタンポポの種子が入っている。
「戦時中の皿」:桜と国旗、日章旗をデザインした戦時中の皿。

 

■太田三郎「出石町の家」オリジナル マルチプル作品「桜文庫(さくらぶんこ)」

太田三郎「出石町の家」限定マルチプル作品太田三郎「出石町の家」限定マルチプル作品

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「桜文庫(さくらぶんこ)」
ノート、襟章 2010年
¥5,000- e.d50

セット内容
中央に穴をあけ、桜の襟章で留めた文庫判ノート。
穴は太田三郎が1ページずつ線香の炎にかざして手焼きしたため、焼け焦げています。
限定50部。エディションナンバー、サイン入り。

 

 

アートスペース油亀 企画展

太田三郎「出石町の家」−戦後66年岡山空襲に寄せて−

2011.8/1(月)〜15(月) 
open 11:00 close 19:00 木曜休廊

会場:アートスペース油亀

〒700-0812  岡山市北区出石町2-3-1
お問い合わせ:086-201-8884

■ 展覧会website
http://aburakame.web.fc2.com

協力:岡山空襲平和資料館、コバヤシ画廊、石村朋子、片山和良、野崎薫

アートスペース油亀までの交通手段

油亀マップと周辺の駐車場のご案内です。

 

 


アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」
アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」

太田三郎(おおたさぶろう;1950-)は、山形県西田川郡温海町(現在は鶴岡市)出身の、芸術家

太田三郎の代表作には、植物の種子を切手に封じ込める作品「Seed project」や、戦争で行方不明になった兵士をモチーフにした切手作品があります。「時間」と「場所」をテーマに、関係性に着目した作品を制作し続ける太田三郎
彼は、岡山の文化向上に貢献した個人や団体を顕彰する「福武文化奨励賞」にも選ばれています。

本展覧会では太田三郎の最新作初公開のオブジェ、戦没兵士をモチーフにした切手作品「POST WAR 46-47 兵士の肖像」、植物の種子を和紙の中に封入した切手作品「Seed Project」他を発表します。

 

日本戦没学生の手記「きけわだつみのこえ」に寄せて

日本戦没学生の手記「きけ わだつみのこえ」の中に綴られた、若者たちの声。
「こどもたちには戦争に遭って欲しくない。」
そんな太田三郎の思いが今回の作品を通じて形となります。
 


「建物は時間を伝える」
古い家が取り壊され、建物に刻まれた記憶も同時に消える。
過去を思わせるものたちは、少しずつ消えていく。
一軒、二軒と消えていき、町から過去が消えていく。

出石町もだ。
空襲からまぬがれた家々は、今はもうない。
わずかにあの頃の面影を残す建物が、ほんの数軒。

太田三郎がこの町で出会った、一人の男。
彼は太平洋戦争に招集され、再びこの町に帰ってきた。
御年九十九歳。
戦後六十五年の月日を身体に刻むその人は、過去と現在を結んでいる。
彼の声は、現在を生きる若者にはどのように聞こえるのだろうか。

太田三郎が投げかけるのは、過去に生きた人々の声。
哀しくも、現在に辿りつくことができなかった若者たちの声。
六十五年を経たこの八月、この場所で、太田三郎は過去と現在、そして未来をつなぐ作品を発表する。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「慟哭」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「慟哭」
本の断片(※注)、置物 2002〜2010年



百三十年の刻を現在に伝える建物、「油亀」
戦災をくぐりぬけた建物は、過去を私たちに教えてくれる。 

「きけ わだつみのこえ」扉ページ

 (※注)
「きけ わだつみのこえ」(岩波文庫)を切り離して「結び文」にし、屋外展示したものの断片

 

「出石町に戦前の建物が残る意味」
岡山市は第二次世界大戦中の1945年6月29日の深夜、アメリカ軍により空襲を受け、岡山市中心部から出石町の南半分まで爆撃による大きな被害を受けました。死者は1737人にも及び、逃げ惑う人々の列が側を流れる旭川とその向こう岸まで続きました。

太田三郎は、この展覧会の開催までに何度も会場がある岡山市出石町に通い、そこで出会った戦争体験者(現99歳)や町の人々との会話、戦災を受けた場所から戦争について考えました。
出石町に油亀のような戦前からの建物が残る意味。
終戦後65年の8月にもう一度、過去を振り返る機会となる展覧会を開催します。
戦争があったことを忘れ去らないように。

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「穴」 

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「穴」
本の断片(※注)、漏斗 2002〜2010年

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「盃」

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」より 「
本の断片(※注)、盃、木箱 2002〜2010年

 


 

■アーティストプロフィール

アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」

太田三郎 Saburo Ota

 1950年 山形県鶴岡市生まれ
 1971年 鶴岡工業高等専門学校機械工学科卒業
植物の種子や戦争で行方不明になった兵士をモチーフにした切手作品など、
郵便を素材として「時間」と「場所」の関係性をテーマに制作。
近年は市民と共同制作するアートプロジェクトを各地で展開している。

 

■会場 
アートスペース油亀
〒700-0812岡山県岡山市北区出石町2ー3ー1
086-201-8884
http://aburakame.web.fc2.com/

■記録集
展覧会終了後、記録集を発行いたしました。
(A-5版 40ページ オールカラー)

■助成
財団法人 福武教育文化振興財団

 

http://aburakame.web.fc2.com/img/menuicon/booksbanner.gif

太田三郎「出石町の家」記録集が完成いたしました。

 


アートスペース油亀 アーカイブ 太田三郎「出石町の家」記録集  アートスペース油亀 アーカイブ 太田三郎「出石町の家」記録集

アートスペース油亀 
特別アーカイブ

太田三郎「出石町の家」記録集
ーきけ わだつみのこえに寄せて
A5版フルカラー 40ページ、価格1000円(税込) 
初回限定特典つき

 

 


アートスペース油亀 アーカイブ 太田三郎「出石町の家」記録集


■発行日=2010年11月25日  編集・デザイン=太田三郎、撮影=池田理寛(P8〜11を除く)、
 執筆=岡田智美、発行=有限会社シード・プロジェクト  

■この記録集は、2010年8月に岡山市のアートスペース油亀で開催された
 太田三郎氏の展覧会太田三郎「出石町の家」写真入りアーカイブです。
 40ページにわたり、出品作品全14点を収録。  
 特別付録として、太田三郎氏直筆のサインと、実際の展覧会の作品配置がわかる
 「出石町の家」会場見取り図セットされた特別エディションです。(初回限定100部)

アートスペース油亀のweb通販より好評発売中。

 太田三郎「出石町の家」記録集ができました。 アートスペース油亀のweb通販 「百亀-momokame-」はこちら

 

 

■News

山陽新聞に掲載されました。

本展覧会が2010年8月8日(日)の山陽新聞に掲載されました。

美術家太田三郎(津山)岡山で個展 戦没学生の声届ける

行 方不明になった兵士の肖像に、戦没画学生の自画像。声なき彼らの存在の証しを、切手型の作品にとどめてきた美術家太田三郎(60)=津山市。岡山市に残る 明治期の商家で開催中の個展では、ベストセラーとなった戦没学生の手記「きけ わだつみのこえ」に寄せた新作で、彼らの声を戦後65年の今に届けてい る。(岡田智美)

手記「きけ わだつみのこえ」素材 文庫本の断片 作品に
<なげけるか/いかれるか/はたもだせるか/きけ/はてしなきわだつみのこえ>
奥の間に続く廊下隅に展示された、有名な短歌を記したページを残した文庫本が、個展の”序文”だった。
500ページを超える本文は短冊状に切り離され、おみくじのように座敷に立てられた木の枝に結ばれたり、包帯のように松葉づえに巻かれていた。床の間に飾られた張り子のクマをびっしり覆う、おびただしい文字の断片は、戦場に倒れ、特攻で散った戦没学生の慟哭そのものだ。
会場の岡山市北区出石町、アートスペース油亀(086−201−8884)は、岡山空襲の被災を免れた築130余年の元油問屋。太田は長い時を刻むこの家に、現在に至ることのできなかった若者たちの声を、いつもの切手の形をとらず、ストレートに響かせた。
「理想を目指した高潔な若者が学問を中断され、戦地に送られ死んだ。そのもどかしさ、無残さ。繰り返し読まずにいられなかった手記の、これらは読書感想”作品”です」
入り口土間や中の間には昭和初期の食器類、床の間には男児の成長を祈る武者人形を飾る。日章旗模様のたこを揚げ遊ぶ軍国少年が描かれた当時の年賀状もあ る。学生たち子ども時代にタイムスリップしたようで。彼らが国や家族を愛した、ごく普通の青年だったことに気付かされる。戦争がなければきっと、幸せな人 生を送ったはずだ。
太田は「戦争の体験はなくても、実感することができる最後の世代」と自覚する。1994年から戦争の記憶や傷跡をテーマに、戦後年数を記した「POST  WAR(戦後を意味する造語)」シリーズを手掛けてきた。来年は今回知った岡山空襲の傷跡を作品にして発表する予定だ。
「POST WARをカウントし続けたい。決してゼロにリセットされることがないように」
15日まで(12日休み)。

山陽新聞 2008年8月8日朝刊掲載文より

 

 

 

 

 
 

 

   

 

 

 

   
     

 

 

 

 
 

  

   
   
 

 

アートスペース油亀企画展

太田三郎 作品展

 

「出石町の家」

日本戦没学生の手記「きけわだつみのこえ」に寄せて


2010年8月1日(日)〜15日(日)

open 11:00 close19:00 入場無料 木曜休廊

※8月5日(木)、12(木)は休廊です。

会場:アートスペース油亀

■お問い合わせ先
アートスペース油亀(あぶらかめ)

http://aburakame.web.fc2.com/
電話:086-201-8884

■周辺駐車場のご案内
油亀のマップと周辺駐車場のご案内はこちら →アートスペース油亀 マップ 

 

   
アートスペース油亀企画展 太田三郎「出石町の家」
 

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