<矢尾板克則の作品について>
新潟の冬は、厳しい。
雪が振り続け、風雨にさらされながら、小屋は風化していく。
そのうち壁が色あせはじめ、はがれ、新しい壁の色が見えてくる。
すると、再び農家の人たちが、その壁のうえに新しい色を重ねていく。
それは「劣化」なのか。
それとも「進化」なのか。
矢尾板克則は、小屋ひとつから様々な答えを私たちに問いかける。
小屋だけではない。
彼の関心の対象は、山や川、沼といった大自然にも及んでいく。
決して忠実に山のカタチを再現しているわけではない。
彼自身が、瞳をつぶって思い浮かべた山の情景を、陶板のピースで組み上げていく。
だからこそ、時として思いもかけない山が現れる。
建築物に見える山、乳房に見える山。
その心に様々な山が存在しているからこそ、独自のカタチが生まれるのだ。
山に雨が降り注げば、次は川となり沼や池となる。
水が流れる情景や、流れた先の水たまりをも、彼は作品に取り入れる。
それをただ見ただけでは、沼と認識するのは難しいかもしれない。
しかし、小屋や山、川、矢尾板克則の世界に足を踏み入れた時、それはあなたにとって紛れも無い沼となる。
兼業農家の家に生まれ、自然と関わりながら生まれ育ってきたからこそ、彼はありふれた自然の情景の中に隠れている「煌き」に気がつくのかもしれない。
その奥に潜む光景に触れた時、私たちは好奇心を刺激されるだろう。
景色と景色の隙間に隠れて見えなかった何かに気がつくきっかけを、彼の作品は与えてくれるのだ。
展覧会名:アートスペース油亀企画展 矢尾板克則展「 浮遊スル冬」
2015年12月12日(土)〜12月25日(金)の14日間 open11:00 close19:00
入場無料、17日(木)は展示替えのため休廊
会場:アートスペース油亀
住所:〒700-0812 岡山市北区出石町2-3-1
お問い合わせ:086-201-8884
■ワークショップのご案内
作家在廊日:2015年12月12日(土)
在廊に合わせて、矢尾板克則氏によるワークショップ、『矢尾板克則と「陶片モビール」を作ろう』を開催いたします。
※詳細は下記の「特別イベント」の欄をご参照ください。
2016年1月8日(金)20:00より、「油亀のweb通販」にて、矢尾板克則展web通販展を開催いたします。


■展覧会Webサイト
http://www.aburakame.com
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■Facebook
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「アートスペース油亀」でご覧になれます。
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様々な美術作品を生み出す、矢尾板克則。
彼の作品たちは、観るものを新たな世界に誘います。
それは子供の頃の冒険心に似ているかもしれません。
あの頃は、小さな町のなかですら冒険でした。
「曲がり角の先には何があるのだろう」と、わくわくしたあの気持ちを思い出させてくれるんです。
大人になった私達に、もっとも必要な心を教えてくれる。
地に足をつけて歩き続けながらも、時には寄り道をしたり、知らない町にでかけてみたり。
それまでは何もないと思っていた場所に、未来があることを。
矢尾板克則展「浮遊スル冬」
私達の心が常に浮遊し、変化するように、彼の作品もまた常に変わり続けていく。
その作品に囲まれた空間のなかで、あなたは見つけるかもしれません。
子どもの頃。
未来に向かって、とめどなくフワフワしていたあの気持ち。
人はどんな時でも変わっていける。
そんな希望が、冬の油亀を満たしていくことでしょう。
■作品点数と内容
矢尾板克則の小屋、note book、山、沼、陶板、立体オブジェなどの美術作品、
色絵シリーズや漆で仕上げたマグカップ、お皿、BOWL、そば猪口、ポットなどの日用食器、
花器、壺、など、約200点。
築140年の油亀の建物に呼応するように、矢尾板克則の一品作が並びます。
※展示作品はすべて販売いたします。
■矢尾板克則 プロフィール
矢尾板克則 / Katsunori Yaoita
1969年 新潟生まれ
1991年 武蔵野美術短期大学陶磁科卒業、山本幸一氏に師事
1993年 武蔵野美術大学陶磁研究室勤務
1995年 新潟県長岡市にて制作活動を開始
1998年 日本クラフト展優秀賞
2000年 ビアマグランカイ佳作賞
2015年 経済産業省「The Wonder500」選出
2015年 アートスペース油亀企画展 矢尾板克則展「浮遊スル冬」個展
2016年1月8日(金)20:00より、「油亀のweb通販」にて、矢尾板克則展web通販展を開催いたします。


こどもの落書きのような象嵌。重ねた色を自然のチカラで剥がした色絵。表情に深みを与える摺漆。
矢尾板克則の作品は、作品単体の美しさにとどまらず、場所と空間をも変えるチカラがある。
独特の存在感と色使いは、「うつわ」としての人気はもちろん、アート作品としても高い評価を得ている。




■「インスタレーション(空間装飾)」
矢尾板克則作品の特徴とも言える、「剥離(はくり)」。
作品に塗った色化粧の上に、土色の化粧土を塗り重ねる。
塗り重ねた化粧土が自然乾燥することで、収縮をおこし、下地の色や表情を剥がしながら落ちていく。
下から浮かび上がるようにして生まれる、風化したような表情。
それが矢尾板克則作品の独自の風合いとなります。
今回はこの一連の工程を、映像にして油亀のブリキの倉庫に投影いたします。
※ブリキの倉庫の映像空間で、特別イベントのカフェをお楽しみいただけます。
※詳細は下記の「特別イベント」の欄をご参照ください。
■「空間と作品の余白」
今回の矢尾板克則作品の配置自体もインスタレーション(空間装飾)としてご覧になれます。
作品単体だけでなく、作品が配置されることで変化する空間との関係、面白さもぜひお楽しみください。