2022年7月9日(土)→ 18日(月・祝)の10日間、open11:00 close19:00 入場無料 火曜日休廊
これまでの展覧会
2019年7月6日(土)→ 28日(日)の 23 日間、open11:00 close19:00 入場無料 火曜日休廊
油亀では、7月6日より、アートスペース油亀特別企画展「果実の灰でうつわを作る」を開催します。
岡山では清水白桃やマスカット・オブ・アレキサンドリアなど、美味しい果実が育てられています。
実るまでには細やかな手入れが必要で、生育過程での木々の「剪定」もそのひとつです。
剪定された木々は、普段燃して捨てられています。
油亀は、2015年から農家のみなさまの協力を得て、その灰を果実ごとに分類して回収し、全国の気鋭陶芸家に届ける活動を続けてきました。
受け取った陶芸家たちは、その灰をそれぞれの技法を駆使して釉薬として再生し、新しいうつわを焼くための研究を重ねてきました。
木・灰・うつわをつなぎ、循環させることで、新しいサイクル(アートスペース油亀では、これを「リハイクル」と名付けました)を生み出す仕組みが生まれたのです。
本展では、その集大成をお見せします。
岡山の果実の灰を使った、新しい挑戦をご覧ください。
北海道から熊本までの9名の陶芸家が、桃やぶどうから出る色や質感を追求したり、
カタチや絵付けを工夫し、物語りを織り交ぜた果実灰作品が一挙に登場します。
清水白桃の木の灰で焼き上げたお皿、カップ、お花入れ、マスカット・オブ・アレキサンドリアの木の灰で焼き上げた酒器や鉢、菓子器などなど。
500点超を展示販売します。
また今回は、生産者のみなさまのご協力で、とびっきりの桃やぶどう、ナチュールワインも並びます。
全国でも新しい試みをぜひお楽しみください。
日本の各地では、四季を通じて様々な果樹が育てられています。
岡山では豊富な水と温暖な気候に恵まれて、清水白桃などの「桃」や、マスカットなどの「ぶどう」の生産が盛んです。
美味しい桃が出来るまでに、農家の方々はたくさんの手入れを行い、大切に育てます。生育過程での木々の剪定もそのうちのひとつです。
剪定されて切り落とされた木々は普段は処分されてしまいます。
油亀では、その処分されてしまう枝や木について考えました。
そして、2015年より、処分されてしまうはずの桃やぶどうの木々を灰にして回収し、全国の気鋭陶芸家たちに届けはじめました。
受け取った陶芸家たちは木の灰を研究し、釉薬として再生させ、それぞれの技法を使って、新しいうつわを創りだします。
今までに無い、新しい運動をスタートさせました。
木・灰・うつわをつなぎ、循環させることで、新しいサイクルを作り出していく。
回り続ける歯車のように「灰をリサイクルし続けていく」という思いを込めて、この活動を「リハイクル」と名づけました。
2016年には、リハイクルの第一弾として、桃の灰を使ったうつわの展覧会「桃灰作器・リハイクル ―桃から生まれたうつわたち―」を開催いたしました。
本展覧会は、「リハイクル」の第二弾「果実の灰でうつわを作る」として開催いたします。
今回は、桃に加えて、ぶどうの木の灰をうつわとして再生させます。
工藤和彦/ Kazuhiko Kudo<北海道>「岡山ぶどう灰釉六角鉢/特別制作品」
工藤和彦/ Kazuhiko Kudo<北海道>「岡山ぶどう灰釉片口豆鉢/特別制作品」
工藤和彦/ Kazuhiko Kudo<北海道>「岡山ぶどう灰釉六角鉢/特別制作品」
馬渡新平/ Shimpei Mawatari<北海道>「マスカット・オブ・アレキサンドリア灰5寸皿」
加地学/ Manabu Kachi<北海道>「マスカット・オブ・アレキサンドリア灰釉碗」
加地学/ Manabu Kachi<北海道>「マスカット・オブ・アレキサンドリア灰釉碗」
加地学/ Manabu Kachi<北海道>「シャインマスカット灰釉碗」
加地学/ Manabu Kachi<北海道>「シャインマスカット灰釉鉢」
加地学/ Manabu Kachi<北海道>「シャインマスカット灰釉鉢」
加地学/ Manabu Kachi<北海道>「シャインマスカット灰釉皿」
古谷浩一/ Hirokazu Furutani<滋賀県>「マスカット・オブ・アレキサンドリア灰釉碗」
古谷浩一/ Hirokazu Furutani<滋賀県>「ぶどう灰釉彫刻皿5寸、ぶどう灰釉彫刻皿7寸」
古谷浩一/ Hirokazu Furutani<滋賀県>「ぶどう灰釉ワインカップ」
古谷浩一/ Hirokazu Furutani<滋賀県>「ぶどう灰釉切立どんぶり」
日高伸治/ Shinji Hidaka<岡山県>「桃灰釉輪花鉢」
①工藤和彦 /Kazuhiko Kudo
北海道 旭川市在住
1970年 神奈川県に生まれる
1988年 信楽焼神山清子先生に師事
1993年 北海道上川郡剣淵町に移住。
2002年 東京サボア・ヴィーブル個展 旭川市に移住
北海道に4万年の歳月をかけて体積した「黄砂」。
粘土の年代は2億年前のもの。 恐竜がいた白亜紀にあった土で、のびのびとした作品を焼き上げる。
料理研究家 栗原はるみさんが選ぶうつわ展で「栗原はるみ大賞」受賞。
②馬渡新平 / Shinpei Mawatari
北海道 余市郡在住
1976年 埼玉県に生まれる
1995年 札幌西高等学校卒業
2001年 京都伝統工芸専門校卒業
2002年 萩焼松野緑坂江窯にて修行
2004年 札幌市内に工房を建てる
2012年 秋田県仙北群に移転
2015年 北海道余市郡に移転
2018年 馬渡新平のうつわ展「素」アートスペース油亀/個展
持ち手や細部にまで使い心地を考えた、お料理を引き立てるうつわを生み出します。
刷毛目の塗り方ひとつにも、思いの込め方があらわれます。
網の目模様のようなヒビ粉引は、極限までに焼成条件を合わせて生み出します。
③加地学/Manabu Kachi
北海道 虻田郡留寿都村在住
1967年 北海道に生まれる
1991年 インドへ旅し陶に目覚める
1995年 和歌山 森岡成好氏に弟子入り
2001年 北海道留寿都村に築窯
2018年 加地学のうつわ展「箱舟」アートスペース油亀/個展
北海道の土を使い、土味をいかしたうつわを生み出します。
薪窯・石炭窯・灯油窯を使い分け、芯まで焼きぬくような焼成。
骨太なうつわは料理を引き立てます。
④寺村光輔 / Kosuke Teramura
栃木県 芳賀郡益子町在住
1981年 東京都に生まれる
2004年 法政大学経済学部卒業、益子にて若林健吾氏に作陶を学ぶ
2008年 益子町大郷戸に築窯 独立
2015年 寺村光輔のうつわ展「温故知新」アートスペース油亀/個展
2017年 寺村光輔のうつわ展「陰翳礼讃」アートスペース油亀/個展
益子特有の土と、近隣でとれた自然灰を使い、今の暮らしに必要なうつわを提案。
日々、本来大切にすべき「美しいもの」を探求します。
⑤古谷浩一/ Hirokazu Furutani
滋賀県 甲賀市在住
1979年 滋賀県信楽町に生まれる
2003年 信楽窯業技術試験場釉薬科 修了
2004年 京都府立陶工高等専門学校 修了、父・古谷信男に師事、作陶を始める
2015年 古谷浩一のうつわ展「白い雲」アートスペース油亀/個展
2018年 古谷浩一のうつわ展「雲のゆくえ」アートスペース油亀/個展
代表作の粉引のうつわをはじめ、どんなお料理も包み込む。
雲のようなやわらかさと自由さを持ち合わせた、 やさしいうつわを生み出します。
⑥八田亨 / Toru Hatta
大阪府 富田林市在住
1977年 石川県金沢市に生まれる
2000年 大阪産業大学工学部環境デザイン学科卒業
2003年 独立
2004年 穴窯築窯
2019年 八田亨のうつわ展「泥土放光」アートスペース油亀/個展
八田亨は、大阪の舞州陶芸館に研修生として入ると、
大阪湾の海底トンネルの工事の際に出た土を粘土に、
護岸工事の杭を薪に、淀川の川底の泥を釉薬にするなど、
身近なものを素材として「自己循環」しながら焼き上げる陶芸の面白さに気付きました。
土とまっすぐに向き合いながら、炎の力がみなぎるうつわを生み出し続けている陶芸家です。
近年では海外での発表も多数、「BRUTUS」や「DiscoverJAPAN」などでも取り上げられるなど、注目の気鋭の陶芸家として活躍しています。
⑦三浦圭司 / Keiji Miura
山口県 柳井市在住
1981年 山口県岩国市に生まれる
2003年 國學院大学卒業
2005年 京都府立陶工高等技術専門校卒業
2006年 京都市工業試験場修了
2007年 沖縄県読谷山焼 北窯 松田米司氏に師事
2011年 岩国市にて独立
2014年 柳井市に妻アリサと共にヒヅミ峠舎設立
2015年 穴窯築窯
沖縄の伝統的な造形を踏まえ、独自の色とカタチを作り出します。
使いやすさを考えた、わくわくするようなうつわを焼き上げます。
⑧三浦アリサ / Arisa Miura
山口県 柳井市在住
1981年 沖縄県宜野湾市に生まれる
2003年 北海道浅井学園大学卒業
2008年 沖縄県読谷山焼 北窯 與那原正守氏に師事
2014年 柳井市に夫圭司と共にヒヅミ峠舎設立
江戸時代の町人たちが、踏み入れたことのない異国を夢見て創りあげたような染付、赤絵など。
沖縄のやちむんをベースに、独特の絵付けをします。
ひとつずつ丁寧に、うつわと向き合いながら作品を生み出します。
⑨梅田健太郎 / Kentaro Umeda
熊本県 宇土市在住
1972年 東京都に生まれる 幼少期を愛知県瀬戸で過ごす
1996年 唐津焼の中川自然坊氏に師事
1999年 修行を終えアジアを周遊
2000年 帰国 熊本県宇土市にて焼き物を始める
2003年 愛知県瀬戸にて修行
2010年より、毎年アートスペース油亀の企画展に参加
粉引唐津、朝鮮唐津、絵唐津など、焼き・土・造形の追求を続けています。
使うほどに深みを増す彼のうつわは、育てることの楽しみを教えてくれます。
■油亀スタッフが綴る展覧会の舞台裏
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