本展は、日本の各地で活躍する作り手の中で、土に向き合う陶芸家とその作品に焦点を当てて紹介いたします。
うつわは土の果実、ツチノミだ。
土から生まれる、いろんなカタチ。
土から生まれる、いろんな焼き色。
彼らは追い求める。
ツチノミを生み出すために。
土を追い求める。
スコップ担いで、土を掘って、自分で土を作ったり。
周りにある土と向き合って。
どうしたいいんだろう。
この土の個性をいかすには・・。
真剣に悩み続ける。
その姿は、時に滑稽だろう。
何も知らない人からみればね。
毎日毎日。
なんで、そんなに土のことばかり考えているんだろうって。
でもね。
滑稽だから、生まれるんだ。
ううん。
生まれないんだ。
滑稽なほど土が大好きじゃないと。
カタチも色も、唯一無二。
僕らの愛するツチノミは。
ひとつのうつわを生み出すために、土を追い求める者。
土に寄り添い、その土の個性を活かす作品を作る者。
彼らが魅了された土から生まれた作品を、アートスペース油亀は「ツチノミ」と名付けました。
「うつわは土の果実」を体現した作品が一同に介します。
同じ国の土でも、場所が変われば、千差万別。
奥深い「土の世界」、その土から生まれる「うつわの世界」をご覧ください。
■出展作家
梅田健太郎(熊本)、江口香澄(福岡)、江口誠基(福岡)、
加地学(北海道)、田村文宏(愛知)、寺村光輔(栃木)、
八田亨(大阪)、古谷浩一(滋賀)、細川敬弘(岡山)、
馬渡新平(北海道)、屋代剛右(岡山)他
マグカップ、ボウル、そばちょこ、豆皿、小皿、パン皿、大皿、片口、向付、鉢などの日用食器、花器、などなど。
全国各地の土にこだわった陶磁器のうつわ作品が約3000点登場いたします。
また本展では「酒器」に注目した特集企画も開催いたします!
手仕事から生まれた珠玉の酒器をお披露目いたします。
日本酒にぴったりのぐい呑みをはじめ、ワインを楽しむための「陶器」にも着目。
うつわも日本酒もワインも、すべては土から生まれてきます。
だからこそ、この展覧会でしかできない仕掛けを散りばめて、
お家で心地よくお酒を愉しむ時間「酒心愉快」をテーマに2020年の締めくくりを飾ります。
※作品はすべて展示販売いたします。
本展の特別企画。油亀でお酒好きの心を虜にしたワイン「M」が記憶に新しい松井農園さん。
この冬、年末年始を楽しむために、新種のオリジナルロゼワイン「朱」を醸造いたしました。
アートスペース油亀にて先行販売。
まるで朝焼けのような雰囲気を纏うこのワインは、未来への輝きを彷彿とさせます。
贈り物に、自分へのご褒美に、家族で過ごす時間の彩りにかかせぬ一本をお見逃しなく。
※ナチュールワインの販売は、アートスペース油亀の実店舗のみで開催いたします。
先着限定120本 税込み3080円
数に限りがございます。
完売時はご容赦ください。
ロゼワイン 「朱」 (SHU vin 2020)
マスカット・オブ・アレキサンドリア 70% シラー 30%
醸造家 松井一智(まついかずのり)さんのワインへの思い
■味わい
色調は黄みがかった朱色。 香りはバラやアセロラの中に、マスカット特有の香りや甘さを連想させる果実味が主体 。そこに完熟した苺などのベリー類、ほんのわずかにシナモンのようなスパイス感が加わります。余韻にオレンジの皮、泡が抜け温度帯があがってもお楽しみいただけます。
■醸造法
ぶどうを丸ごとタンクに入れ、14 日間マセラシオン。タンクから葡萄を取り出し圧搾。ジュースをバルククーラーに移し、低温で発酵させた物と 3 日間マセラシオン、3 日間ピジャージュしてプレスし発酵させた「シラー」と「マスカット・オブ・アレキサン ドリア」をアッサンブラ― ジュして瓶詰め。 清澄剤・フィルター不使用。亜硫酸(二酸化硫黄)完全無添加。 ※瓶の底に溜まっているのは澱です。 ※マセラシオンとは、ぶどうを漬け込んでワインを醸造することを意味します。 ※ピジャージュとは、ワインの醸造工程で、発酵中にタンクの中で足踏みし、果皮を多く液体と触れさせることを意味します。 ※アッサンブラ― ジュとは、異なるワインを混ぜることを意味します。
■ぶどうのこと
私がワインを作ろうと決心したとき、 どうやってぶどうを育てていくか悩んでいた時、ある一人の生産者が協力を申し出てくれました。その人はこのために有機農業に切り替えてマスカット・オブ・アレキサン ドリアを育ててくれたのです。その人との出会いがなければ、このワインは生まれませんでした。どんなに感謝してもしきれない想いが、このロゼワイン「朱」には詰まっています。僕とその人が育てた倉敷市船穂町のぶどうから生まれたロゼワイン。今年の夏は暑く乾燥していたため、ぶどうの成熟も良く、最高のワインができました。
■目標
このロゼワイン「朱(SHU)」は、あるワインを目標に作りました。ナチュールワインの醸造家で、その名を広く知られる大岡弘武さん。私は大岡さんがフランスで作っていたワイン「 LE CANON ロゼプリムール」が大好きで、マスカット作りをはじめました。「 LE CANON ロゼプリムール」のようなワインを作ること、作り続けることの第一歩が、この「朱(SHU)」から始まるのです。
■醸造法
今回、新酒のロゼワイン「朱」が完成したときに、油亀代表の柏戸さんに、陶製のうつわを借りてワインをテイスティングしたいと相談しました。実は、これまでにガラス製のグラスでしかワインを飲んだことのなかった私は、はじめは期待よりも不安が大きかったです。なぜならば、今回のワイン「朱」は発泡酒であるからです。ビールを焼き物の器に注ぐと、きめ細かい泡が綺麗に立ち上がる現象を意識していました。やはり考察はあたり、ワインを土の器に注ぐと急激に泡が立ち、瞬く間に消えていきました。
ただ不安を覆したのはここからで、グラスには出せない魅力を感じる事になりまし た。口に器を傾けると、ワインに温かみが足されたようでした。 古代のワイン造りは醸造機も器もすべて陶器であったと言う事を、感じてしまったのです。陶器のうつわに注ぐことで、私のワインに豊潤さが現れました。理由としてつぎのことが考えられます。泡が抜けることで、急激に酸化が起きて、香りや味わいを広げた事。(デキャンタしたワインと一緒です)口あたりについて、土の器で飲むことで土の香りが飲む前に足されることと考えました。ワインを変える要素が 2 つ同時に起きたことで、ワインの表情に変化が起きたのではないかと思います。
また私が温度帯を変えたくなったのは、土の器だとワインの香りがまけていたからです。温度を少し上げることで、土の酒器にも負けない香りを放つようになり、興奮したことを今でも鮮明に覚えています。※温度は上げすぎ注意です。前回は20~25度と推定されます。温度を上げることで、風味が広がった状態のワインは、もはや別のお酒に感じ、オレンジやリンゴ、洋ナシ、シナモン、 アニスが溶け合った「サングリア」のようでした。陶器の酒器で味わうときに現れるこの現象は、ほかのお酒にもあてはまるのではと思います。(ウイスキーとか蒸留酒も良いかと考えられます。)
もちろん、グラスでそのままのワインの味を楽しんでいただきたいとも思いますし、これを機会にたくさんの人に「つちのみ」を体験してほしいと思います。例えば、「お正月に日本酒しか飲まないお父さんに、ワインを勝手に入れてみるプロジェクト」みたいな感じで、フランクにこの経験をお伝えしていただけると幸いです。
油亀のweb通販では、「ツチノミ−うつわは土の果実−」のオンライン展も同時開催いたします。
アートスペース油亀で開催した、第一回 ツチノミ−うつわは土の果実−
2014年の様子はこちらから